昨日、来院された70代の女性。
この方は約半年前に右肩の痛みで腕が上がらないとの事で当院に来院され、この3か月ぐらいは月一で来院され、今現在はほぼ痛みもなくなり、肩の可動域もほぼ問題ないところまで回復しました。
肩を痛めたきっかけは、お孫さんを抱きかかえようとした時、激痛が走りそれ以来、痛みで腕を上げる事が出来なくなったとの事。肩を痛めたのは、当院に来る約8カ月前。
肩を痛めてすぐに病院へ行き、検査をしたが骨に異常はなく、その後牽引治療や湿布、鎮痛剤等の処置を受けていましたが、よくなるどころか、腕は上がらなくなるし、痛みは悪化するし……。
そんな状態を見て、ご家族の方のご紹介で当院に来られたわけですが、何故約8カ月間治療を受けていたにも関わらず、痛みや可動域が回復しなかったのか??
この患者さんが受けていた牽引治療についてですが、牽引治療とは、末梢神経が脊柱から出てくる「椎間孔」が狭まっていて、神経を圧迫しているから痛みが発症するとの仮説に基づき、引っ張る事で椎間孔を開き、それにより痛みが改善する。
もしくは、長軸方向に引っ張るわけですから、ストレッチ効果もあるというわけです。この患者さんのケースでは、肩に痛みがあるわけですから、肩に分布している末梢神経は首から出てくるので、首を牽引して椎間孔を開けば痛みは軽減するという論理なのでしょう。でも実際には、軽減どころか悪化の一途……。
首、肩、上腕、前腕を触診したところ、この患者さんの原因部位は、肩に分布する「三角筋」と腕の力コブでおなじみの「上腕腕二頭筋」、肩甲骨に分布している「棘下筋」この3つの筋肉が硬くなり、そして痛みを発症し、可動域を制限していました。
首は問題なし!上記3つの筋肉が緩んだ事で痛みもほぼなくなり、可動域も元に戻りました。つまり、痛みの原因は「筋肉」お孫さんを抱き上げた時に筋肉が損傷し、その後筋肉が硬くなり、発痛物質が分泌され痛みの信号が脳に入るというお決まりのパターンです。
約8ヵ月間、牽引や湿布薬等の処置を受けても改善しなかったのは、単純に原因部位に対して何もアプローチしていなかったということですね。でも、このようなケースは本当に多いな~~と日々臨床をしていて思います……。