今回は、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症等,神経圧迫が痛みの原因ではない理由について投稿したいと思います。
前回の投稿で、痛みは血行不良による酸欠状態→ブラジキニン放出→痛みセンサーにブラジキニンが触れて電気信号が脳へ送られる。→脳で痛みを知覚
このメカニズムについて説明しましたが、今日はこの中でも痛みセンサーである「ポリモーダル受容器」について説明したいと思います。
この「ポリモーダル受容器」は末梢神経末端部に存在し、炎症や機械的、科学的な刺激に対して広く反応し、患部から脳へ痛みを伝えるセンサーの役割をしています。
大事なポイントは「ポリモーダル受容器」は、神経末端部のみに存在しているという事です。神経線維の途中には存在していません。
椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症は、神経線維の途中を圧迫して痛みが生じているとの理論ですが、痛みセンサーがないのにどうやって痛みを知覚出来るのでしょう??
(神経線維そのものを損傷した場合、繊維の途中から痛みが発症する事はありますが、臨床的に非常に少ないケースだと感じています。)
ポリモーダル受容器研究の第一人者 名古屋大学名誉教授 熊澤 孝明先生著の「痛みを知る」の中で「神経線維は通常、その末端にある受容器から信号を伝えるものであって、その途中が興奮
を起こしたりすることはありません」と解説されております。
この痛みセンサーの存在が明らかになったので、神経圧迫が痛みの原因との説に多くの矛盾がある事が判明しました。次回は、慢性痛について書き込みたいと思います。